イカナゴ緊急事態です。

3月7日(月)、待ちに待った『イカナゴ』の解禁日を迎えました。『イカナゴ』とは何者だ?と思われる方も多いかもしれませんが、瀬戸内、特に播磨灘明石海峡周辺で獲れる小さな魚の事です。この『イカナゴ』を各家庭の味で甘辛く煮た佃煮=『イカナゴくぎ煮』こそが、私の故郷の味なのです。特に、明石・垂水・神戸の辺りでは、地元のおばちゃま達がこぞって買い求め、期間中に数十キロ分を炊き上げ、日頃お世話になっている方々の所へ〝春を告げる贈り物〟としてお送りする風習があります。ただ、最近はテレビやニュース等の報道により、全国的に知られる様になった事、阪神淡路大震災以降、お世話になった方々へ送る風習が一層激化した事を受けて『イカナゴ』が緊急事態に陥っています。毎年「今年は高い」と言う声を聞き続け、遂に今年は前代未聞の1キロ当たり2500円~3000円となりました。恐ろしい事です…。私が未だ幼かった頃、祖母にお魚屋さんの商店街『魚の棚』へ連れられて買いに行った頃には、1キロ400円程度。「3袋(3キロ)買ってくれたら1000円にするよ!」と言われていた記憶があります。しかも、どちらかと言うと、地元庶民の味、高級魚のイメージなんて全くありませんでした。そんな『イカナゴ』ですが、今年は緊急事態です。値段の高騰は、何とかなります。それよりも「無い」のです。『イカナゴ』が産卵をする12月下旬、暖冬の影響で海水気温が下がらず、産卵が遅れ、それに伴って解禁日も約10日遅れたのです。一部の報道では、漁協関係者のコメントとして「初日としては例年よりも多かった」といった声もありましたが、この一言、とんでもない話です。地元のお上品なおばちゃま方にお伝えをした物なら「だったらイカナゴはどこへ行ったんや!?多いのに、高いって何で!?」と怒りの声が聞こえて来そうです。見た目と違って怒りはしない大人しいめの母ですが、いつも買っているお魚屋さんに問い合わせると「入荷できるか分からない状況なのに、開店時間の8時から4時間前、4時には並んで待っていらっしゃった方がいる」と聞かされたそうです。何年も何年も解禁日初日に買い求め、その日の内に毎年楽しみに待って下さっている方へ発送する、を繰り返していましたが、今年は遂に初日に手に入らなかったそうです。勿論、少し古くなってしまう時間帯、午後の物であれば、売れ残りもあったかもしれませんが、鮮度が命の『イカナゴ』にあっては論外です。初日に買う事が出来なかった母は意気消沈、電話の声も沈みまくっていました…。そして、解禁日翌日、遂に炊く事が出来たとの事。用事があって実家へ帰っていた私も、きっちり頂く事が出来ました。今回はお留守番をしてくれている旦那さんにもお土産として持って帰ろうと思います!!!

 

↓ 『イカナゴ』のくぎ煮

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母曰く、『イカナゴ』の減少や高騰と共に、日本各地へお送りする際に用いる〝発送用の入れ物〟もどんどん薄くなっているそうです。それに、配送業者もあの手この手と考え、梱包材の有料化等、商売上手な様です。子どもの頃から親しんだ〝故郷の味〟が世に広まる事は嬉しいのですが、反面〝高級品〟になってしまうのは、ちょっと寂しい事でもあります。旦那さんの故郷では〝のどぐろ〟=『アカムツ』が一層高級魚になっているそうです。複雑な気持ちを抱え「なんだかなぁ~」と思いつつ『イカナゴ』を頬張る事にしたいと思います。

 

では、今日はここまで。